復刊2号(46号)特集内容 テーマ:コドモノクニ  *完売


時代がどんなに変わろうとも変わることのない子供らしさというものがある。

その普遍の子供らしさは、誰しもが持っていたもの。だから、そういう子供の姿を見ると、自分の記憶と重なってしまう。

おそらく、300年前だって子供達は同じだったかもしれない。

変わっていくのは大人の世界。そして、大人の影響を受けている子供の世界。

大人の影響から離れ、子供が子供として存在する時、昔も今も変わらないものが見える。

だから大人は、子供を見つめる必要がある。

目の前の現実よりも大切な何かが、昔から今に至るまで受け継がれていることを知るために。

さらにその大切なものを、後の時代へと受け継いでいくために・・・。      


語り、写真/丸山健二 聞き手/佐伯剛
語り、写真/丸山健二 聞き手/佐伯剛

 

ロングインタビュー 

子供は大人を見ている。


●史上最年少で芥川賞を受賞し、その後、全ての賞を辞退して文壇とも距離を置き、孤高の精神で50年近く文学活動を続けてきた丸山健二さんに、長野のご自宅で話を伺いました。


撮影/齋藤亮一
撮影/齋藤亮一

.コドモノクニ

 20ページ


ここ20年ほど、日本全国の日本のコドモ達を撮り続けている斉藤亮一さん。そこには、時代背景に関係ない、コドモ特有の姿が映し出されている。日本の昔話の中に登場するコドモのようなコドモがいる。

斉藤亮一homepage


撮影/広川泰士
撮影/広川泰士

☆此の国、妣の国

 20ページ

 

富山県の南砺。合掌造り集落があり、衣食住に伝統的な暮らしが息づいている。広川さんは、日本の桃源郷と、破壊の著しい現場を撮影している。今この瞬間の日本に、その二つが同居している。日本は、その二つに引き裂かれた状況の中から、次の時代を作り出さなければならない。

広川泰士 homepage



撮影/前川貴行
撮影/前川貴行

☆日本の森に息づく命

 18ページ

 

日本は都市化が著しいが、それでも国土の大半は森に覆われている。日本人は、あまり意識していないが、そこは野生動物の宝庫だ。しかも、その種類は豊富だ。日本人は、古くからこの狭い島国で、野生動物と共生してきた。人間に都合良く利用するのではなく、魂を宿らせるものとして、畏れ、敬ってきた。その心性が、日本人ならではの優しさや思いやりを育んできた。とりわけ、コドモにとって、野生に直に触れる体験は貴重だ。都市的な環境の中で利便性や安楽ばかりを求め、自分の都合に合わないことに耐えられなくなるのは、生物として、生きる力を弱めていることになる。

前川貴行 homepage

 

 


撮影/マスノマサヒロ
撮影/マスノマサヒロ

☆福島の子供たちから

 6ぺーじ

子供は身体を動かしながら、色々なことを乗りこえていく。身体を使えば、世界が違って見えてくる。どんなに辛い出来事があっても、大人よりも身体を動かす喜びを知っている子供は、大人が忘れがちな方法で、自分の道を切り開いて行く。

マスノマサヒロ  homepage


撮影/百々俊二
撮影/百々俊二

☆環日本海 

 18ページ


日本海には、原発がたくさんある。昔ながらの生活を送る人達も大勢いる。過去と現在が折り重なり、軋み合っている。太平洋側の都市にいて、自分の周辺だけを見ていると決してわからない日本の現実。私達の未来を考える為には、私達のリアルな現実を見ておく必要がある。

百々俊二   homepage 

 


☆Sacred  Beings

    16ページ 

インカ、マヤ、アンコールワット、古代ペルシャ、古代インド、アジアモンスーン、アフリカ、中南米など、それぞれの地域の古代遺跡や自然風景と子供を組み合わせて構成した。世界中の子供達の気高い表情を見て欲しい。どの子供も静かな表情なのだけど、子供が子供として、気高く生きているという感じが伝わってくる。発展途上国とか先進国とか、大人世界の分別なんかどうでもいい。国境に関係なく、子供には子供の世界がある。子供は、自分が見ている世界から、いろいろなことを触発され、そのたびに、自分を生まれ変わらせていく。その柔軟性と精一杯が、子供の特権だ。
 大人は、そうした子供の振る舞いを見て、知らず知らず自分の中から失われている大事なものに気づかされることがある。

北義昭  homepage



文章

困難な時代だからこそ、純粋なメッセージをーーーー茂木健一郎   homepage

家ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー望月通陽       homepage

なつかしいこえが聞こえるーーーーーーーーーーーー小池博史            homepage

◎皆既日食のパウリ効果ーーーーーーーーーーーーーー--蛭川立           homepage

私は顔の巡礼ーーーーーーーーーーーーーーーーーー--姜信子            homepage

私のなかの小さな少女ーーーーーーーーーーーーーー田口ランディ     homepage

マチゲンガの暮らしーーーーーーーーーーーーーーー関野吉晴            homepage

思い出したこと ーーーーーーーーーーーーーーーー管啓次郎           homepage

◎希望の王国ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー今福龍太   homepage

 


 現在の社会では、子供に対して、大人の価値観をすりこんでいくことが教育だと考える傾向があります。もちろん、大人は子供の将来が幸福なものになることを願って、様々なことを子供に伝えようとしています。でもそれは、この短い期間に、現代人が作りあげた世界の基準に従っているだけです。

  人類は、歴史を通して、先祖代々が少しずつ築いてきた世界を、できるだけ損なわないように子供に伝える使命を持っていました。先祖代々が修正しながら積み重ねてきた知恵に、自分の経験が簡単に太刀打ちできないことを自覚していたからです。

 しかし、今はどうでしょう。現代社会に生きる私たちは、いつの間にか、現代は人類の歴史の最高峰に位置していると錯覚しています。新しいものほど良くなっているのだと。

 しかし、現代社会で性急に作り上げられた価値観は、非情に脆弱です。10年も経たないうちに廃れてしまい、また新たなものに取って代わられますが、その繰り返しを延々と続けるばかりです。にもかかわらず、大人は、今、自分が信じ込んでいるものを、子供達に押し付けようとしている。

 現代人は、今この瞬間だけに意識をとらわれすぎています。もっと長い目で世界を眺め渡し、時代を超えて変わらないものを見いだし、それを子供達に伝えていく必要があるでしょう。もしかしたら、その必要すらなく、子供達は子供達で、世界の普遍性に基づいて生きているのに、大人が邪魔をしているだけかもしれません。

 

                            風の旅人 編集長 佐伯剛


復刊 風の旅人 の装丁について。(これまでより、重厚になります) 

2003年4月の創刊時、風の旅人は年に6度発行し、一般の書籍流通で販売する雑誌として制作しました。しかし、一般雑誌のように読み捨てずに手元に長く置いていただけるというご意見もよくいただきました。その為、装丁は、もう少し写真集に近づけ、表紙は2段階、本紙は1段階、紙を厚くしました。発行も、年に二度と限定し、これまで以上に、一冊ごとに、じっくりとお付き合いいただきますよう、お願い致します。

風の旅人の販売について。 (一般書店では販売しません)

風の旅人は、創刊から第44号まで、書籍流通を通して、全国の書店で販売してきました。しかし、現在の書籍流通は、一日あたりの新刊本の発行点数が異常に多いため(200〜300)、書店で対応できず、書店に届いても段ボールが開封されずに戻されることが多くなっています。単行本書籍の場合は、何度も書籍流通に入れ直すということができますが、風の旅人のような定期刊行物は、一度戻ってきたら終わりです。そのように返本されるものも含めて印刷しなければならないというのは非常に不合理です。広告収入に頼った雑誌の運営の場合は、それでも構いませんが、そうでない場合は、運営にも深刻な影響を与えます。その為、今後は、書籍流通を通さず、直接販売を行いながら、新たな流通の仕組みを考えていきたいと思います。


*取り次ぎを通した書店での委託販売は行いません。買い取りの書店様は、このホームページのcontactを通じて御連絡頂ければ幸いです。