風天塾(ワークショップ・セミナー):京都、松尾大社にて開催 

故きを温ねて、未来への橋を架ける。

日時:2024年 7月27日(土)、7月28日(日) 午後12時半〜午後6時  

両日とも、10名限定。(1日で完結)

場所:かぜたび舎(京都)京都市西京区嵐山森ノ前町

 *阪急 松尾大社駅 徒歩5分*松尾大社に集合し、周辺のフィールドワークを行った後、事務所に向かいます。 

 *資料代として、おひとり様2,000円をいただきます。


私は、西洋世界が耳を傾けようとさえするならば、日本文明が与えることができる優れた教訓のかずかずを知らないわけではありません。それは、現在を生きるためには、過去を憎んだり破壊したりする必要はないという教訓であり、自然への愛や尊敬に席を譲らないで文化の産物の名に値するものはない、ということであります。

           クロード・レヴィ=ストロース

                                             

 

 

(左写真)「始原のコスモロジー 日本の古層Vol.4」

  2023年12月20日発行。現在、ホームページで販売中。



万葉仮名で、「かみ」は迦微と記されていました。迦は「巡り合う」、微は「かすか」。すなわち、「かみ」とは、自然界を巡る目に見えないエネルギーであり、それこそが、万物生成の根元に宿る力だと、日本のいにしえの人々は、受け止めていたようです。
 それは、人間の尺度を超えた力であり、そうした迦微(かみ)を感じ取って、人間は、畏れと敬虔なる気持ちを持ち続けていました。
 それに対して現代の私たちの社会は、万物の尺度を人間に置くという傲慢さで、人間の計画や設計を第一に、人間の論理で、一つの正しい正解を求めたがる世界です。
 計画性や論理性に基づき、一つの正しい答えを求める思考特性は、近代合理主義の産物にすぎず、そうした思考特性を持たない近代以前の人間が、今よりも劣っていたわけではありません。
 たとえば、設計図に基づいて計画的に作った現代の建築物より、設計図をもたないけれど自然の摂理を読むことに長けた敬虔な職人が、樹木の特性を汲み取って作り上げた建築物の方が、はるかに長い歳月を耐え抜いて存続します。
 温故知新というのは、単に昔のことを調べたり知るだけでなく、古きを温ねて、新たな道理を導き出し、新しい見解を獲得することです。つまり、人類の辿ってきた足跡を振り返ることで、世界の捉え方や未来の展望を更新すること。
 邪馬台国の場所とか、日本人の起源をDNA鑑定で探るといった知的好奇心も時に必要かもしれませんが、それよりも大事なことは、歴史の大きな流れの中に自分が存在しているリアリティを感じ取ることでしょう。
 私たちは、決して、今この瞬間の限定的な時空に閉じ込められて生きているのではなく、無限に積み重なる命の巡り合いの中に存在し、そのうえで、人それぞれ固有の課題に向き合っている。
 このたびのワークショップセミナーでは、特にそのことを大切にして、自分と世界、故き時代と未来、目に見える世界と見えない世界のあいだに、橋を架けることを心がけたいと思っています。


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