風の旅人 第25号~第28号

vol.25 2007年4月

定価 ¥1,200(税込)
全154ページ 30×23cm

 

スライドショー

 

【 表紙・裏表紙 】

絵/大竹伸朗

【 写真 】

  • 吉原家の130年

    photos・text / 吉原悠博

  • 増殖する現代

    photos・text / 内山英明

  • 豊饒なる貧困

    photos・text / 長谷川健郎

【 連載 】

  • 罪と穢れ

    text / 前田英樹

  • ほら、まるで生きているみたいに死んでいる

    text / 管啓次郎

  • 幻影のなかの生

    text / 酒井健

  • イリュージョンとしての「われらの時代」

    text / 日髙敏隆

  • 「善なる領域」が暴走する懸念

    text / 森達也

  • われらが時代

    text / 養老孟司

  • 世界と人間のあいだ

    text / 田口ランディ

  • 欧化啓蒙主義を超えて

    text / 甲野善紀

  • 「映像」の見え方と、私たちの視点

    text / 小栗康平

  • 停滞する時間、反復する時間

    text / 古谷利裕

  • 人間は、自らの全能感を克服できるのか?

    text / 保坂和志

  • 本当のことに出会うために

    text / 茂木健一郎

  • 心の風景への旅

    text / 川田順造

【 Endless World − 循環する世界のなかで 】

  • 極北の氷河にて

    photos・text / 八木清

  • ガンジス源流

    photos・text / 小池英文

  • イトゥリの森で教えられたこと

    photos・text / 船尾修

     

     今号の巻頭特集において、一家族の6代にわたる歴史を写真によって構成しました。一人一人の人生の二度と繰り返されない厳粛な一瞬と、変化の軌跡と、それぞれの人間関係を写真を通して眺めていると、言うに言われぬ気持ちになります。

     一つの世代が生と死を一巡し、次の世代が前の世代の残したものを引き継ぎながら新しい一巡を始めますが、同じ場所からではなく、少し位相の異なるところからに始まる。人間の生命は、そのようにスパイラル展開をしていることが感じられます。

     一人一人の人間は、個人の意志や意識や願望を超えて前世代から何ものかを受け取り、その上に、その人ならではのものを積み重ねていく。時間の経過とともに様々な経験を取り込んで自分自身を変化させながら、次なる人間に何ものかを受け渡していく。

     「人類史」という抽象的概念ではなく、「家族」という一人一人の顔と息づかいがわかるリアルな実態の流れを見ることで、そのことが、より強く実感できるのではないかと考えました。

     また、人間は、「個」として生きながら、家族や社会という共同体に属しています。無数の人の人間が集まった社会は、それまでの人間が脈々と受け継いできたものを総合的に活用し、一人の人間では及びもしないものをつくり出します。とりわけ現代社会は、驚くべき速度で人間がつくり出したものが統合され、個人の歩みと、社会全体の歩みのあいだに、目も眩むような断絶が生じています。

     しかし、人間は、いつの時代でも、個人と共同体の両極に引き裂かれる葛藤と軋轢に喘ぎながら、少しずつ自分を変えて対応し、自分の周辺に関係の糸を張り巡らし、自分なりの環を生きてきました。一人の人生は永遠に連なる鎖のなかの一つの環にすぎないけれど、その環は個人のなかで閉じて完結しているのではなく、大きな全体につながっている。そうしたことを、誌面を通じて少しでも感じていただければ幸いです。

     

    風の旅人 編集長 佐伯剛

 

vol.26 2007年6月発行

定価 ¥1,200(税込)
全154ページ 30×23cm

【 表紙・裏表紙 】

絵/大竹伸朗

【 写真 】

  • TOKYOの闇夜

    photos・text / 内山英明

  • 屋久島

    photos・text / 山下大明

  • 浅草善哉

    photos・text / 古賀絵里子

  • 古里

    photos・text / 村上仁一

  • 新グレートジャーニー
    [日本人のルーツを訪ねて]

    photos・text / 関野吉晴

【 連載 】

  • ここがもし聖地でなければどこが

    text / 管啓次郎

  • 無心の祭

    text / 前田英樹

  • 森のなかの生

    text / 酒井健

  • 生命と自我

    text / 養老孟司

  • 幼虫は未完成か?

    text / 日髙敏隆

  • 今の今を行くより外なし

    text / 甲野善紀

  • 豊饒なる貧困

    text / 長谷川健郎

  • 偏見や排除の論理

    text / 森達也

  • 暗澹たる世界

    text / 田口ランディ

  • 神殿の谷で

    text / 川田順造

  • 形が生まれること、それによって見えなくなるもの

    text / 古谷利裕

  • 「見る」ことと、「私」が在ること

    text / 小栗康平

  • 事実をありのままに受け入れる思考とは?

    text / 保坂和志

  • 今、ここから全ての場所へ

    text / 茂木健一郎

【 Endless World − 循環する世界のなかで 】

  • 畏れの信仰

    photos・text / 八木清

  • いのちの流れ

    photos・text / 小池英文

  • もうひとつの眼

    photos・text / 船尾修

この世に生を受けたものは、何一つ単独で存在せず、常に他の何ものかと作用し合い、「死」も含めた全体の一部として存在しています。
 また、生きることは、自分と世界のあいだの精妙な運動ですから、どの局面も不完全ではあり得ないでしょう。その意味で、生まれて間もない頃や、死の直前においても、「生」は、それじたいで厳粛に成立しています。
 現代社会に広く浸透している認識では、赤ん坊や子供は大人になっていく過程とみなされ、老年は、完成したものが衰えていく過程としてみなされる傾向がありますが、そうではなく、子供も成人も老人も、その局面ごとに、それじたいで唯一のものとして完成しています。
 いたいけなもの、あわれなもの、さびれたものが人間の心を捉えるのは、そこから漂う「死」の気配が、「生」の奇跡的なバランスを再認識させるからではないでしょうか。
 「生」の運動は極めて精巧であるがゆえに、「生」を全うしているものからは、同時に、「死」の気配も漂っています。そして、「死」の気配が濃厚なものほど、「生」の気配も濃厚になります。「生」あることのかけがえのなさは、宿命的な「死」と深くつながっているように感じられます。
 この世の営みの全ての一瞬は、始まりであり、終わりであり、なるべくしてなる均衡のなかで、「死」と背中合わせの「生」そのものとして完成している。
 そうしたことを、誌面を通じて少しでも感じていただければ幸いです。

 

雑誌『風の旅人』編集長 佐伯 剛

 

 


vol.27 2007年8月

定価 ¥1,200(税込)
全150ページ 30×23cm

【 表紙・裏表紙 】

絵/大竹伸朗

【 写真 】

  • GROUND ZERO 1[9.11事件以降]

    photos / ジョエル・マイヤーウィッツ

  • GROUND ZERO 2[原爆以降]

    photos / クリス・スティール=パーキンス
    / Magnum Photos Tokyo

    text / 山田美也子

  • OUTER WORLD[東京・郊外]

    photos・text / 内山英明

  • FLOATING WORLD[極東ホテル]

    photos・text / 鷲尾和彦

  • LOST CHILD[東京迷子]

    photos・text / 梁丞佑

【 連載 】

  • もしアメリカがなかったら、いまは

    text / 管啓次郎

  • アメリカと日本

    text / 養老孟司

  • 象をなでるように

    text / 田口ランディ

  • 無邪気な善意の恐ろしさ

    text / 森達也

  • 祭と暦

    text / 前田英樹

  • 夜のなかの生

    text / 酒井健

  • 幼虫は未完成か?

    text / 日髙敏隆

  • 豊饒なる貧困

    photos・text / 長谷川健郎

  • 道なき道

    text / 甲野善紀

  • シラクーザからナポリへ

    text / 川田順造

  • 「見えるもの」と「見えないもの」の間

    text / 小栗康平

  • 反復される度ごとに、身体のなかで新たに生まれるもの

    text / 古谷利裕

  • 緊密なコミュニケーション空間

    text / 保坂和志

  • 信じることと生きること

    text / 茂木健一郎

【 Endless World − 循環する世界のなかで 】

  • 極北の原野と人間の道

    photos・text / 八木清

  • はじまりの海、還りついた海

    photos・text / 小池英文

  • 神聖なる『死』を見つめて

    photos・text / 船尾修

     

私たちの生きる宇宙は一定の状態に留まることなく混沌と変化し続けますから、人間にかぎらず、どんな生物でも、常に新しい状況や問題に当面することになります。
 そうした場合、新たな対応方法がすぐに得られるわけではなく、いろいろ試みては失敗を繰り返し、そのうち、偶然成功した反応が次第に確立され、新たに秩序的なスタイルが整えられていく。生命は、そうした”さ迷い”の繰り返しによって、現在のような多様で安定した状態を作りあげてきたように思われます。
 すなわち、生命の営みは、劣っていた状態から少しずつ発展してきたというわけではなく、特定の人間が絶対的に正しいと主張する原理に導かれた筈もなく、時とともに刻々と変化していく状況に対して様々な試行錯誤を繰り返しながら、様々な関係に基づく様々な存在の可能性を得て、整えられてきたのでしょう。
 とはいえ、既に確立している状態に上手く適応しているものにとって、その安定を揺さぶる動きは不吉なものに感じられ、その不安に耐え難い場合は、逃げ出したり、それを排除することが多くあります。
 とりわけ人間は、自らの安心と安全と安楽を脅かす可能性がある新たな揺らぎに対して、極端なほど排他的な思考と行動に走ることが多く、それが過激になり、集団化し、様々な失敗を重ねてきました。
 そうした失敗を繰り返さないように、刻々と変化していく状況のなかで、性急にわかりやすい答えを求めるのではなく、不安に心揺らぎながら、それに耐え、様々な可能性を模索していく必要があるでしょう。
 この世の生を受けることは、そのように“さ迷い”を続けることであり、それは、新しい関係に基づく新しい存在の可能性を求めて生を更新し続けることなのかもしれません。

 

雑誌『風の旅人』編集長 佐伯 剛

 

vol.28 2007年10月

定価 ¥1,200(税込)
全150ページ 30×23cm

【 表紙・裏表紙 】

絵/大竹伸朗

【 写真 】

  • 富士  GENUINE IMAGE

    photos・text / 大山行男

  • 鉄の匠  SACRED FORM

    photos・text / 大橋弘

  • 東京  MOVING INTERSPACE

    photos・text / 神谷俊美

  • 穂高  INFINITE EXPERIENCE

    photos・text / 水越武

  • 横浜  ACTIVATE CULTURE

    photos・text / 中藤毅彦

【 連載 】

  • 荒ぶる神

    text / 前田英樹

  • 用の美

    text / 甲野善紀

  • 固有と規格

    text / 養老孟司

  • 集団化が殺すもの

    text / 森達也

  • モーテルと地図帳

    text / 管啓次郎

  • ナポリへ

    text / 川田順造

  • 神の沈黙と生の顕現

    text / 酒井健

  • 聖骸布の男

    text / 田口ランディ

  • 幼虫は未完成か? 3

    text / 日髙敏隆

  • 見る行為と、「私」の揺らぎ

    text / 小栗康平

  • 「ある体系」への信頼と、その外側にまでひろがるもの

    text / 古谷利裕

  • 人間と世界の係わりの三層

    text / 保坂和志

  • 聖なるものについて

    text / 茂木健一郎

【 Endless World − 生と死の廻り 】

  • 今ここにある生 ①

    photos・text / 古賀絵里子

  • かけがいのないひとつの死 ①

    photos・text / 桃井和馬

  • 新グレートジャーニー ①
    ─ ブリアートとの出会い ─

    photos・text / 関野吉晴


     「富士山」であれ、「東京」であれ、同じ「単語」を聞いても、人それぞれの記憶によって、思い浮かべる光景は異なります。どんな時も場所も、光の微妙な加減や匂いや歳月による傷みなど、その時、そこにしかない関係性で成り立っており、同じものは存在しません。
     世界は、無限の組合せによって、どの局面も微妙に異なって多彩になり、局面ごとに現れ出る一つ一つの物は固有になります。そして、人と人、物と物、人と物など、それぞれ固有の存在が固有の関係をきめこまかく織り込んでいくと、その関係から生じるものは、いっそう固有の性質を強めていきます。
     優れた職人の仕事とは、おそらくそのように固有の局面のなかで、物と物を関係させ、命のつながりを実現し、生の形を整えていくものなのでしょう。形は異なれど、そこに宿る生の気配は普遍であり、だからこそ、人の心に響くのでしょう。
     この世界に、他に取り替えのきかない関係性で自分が在り、自分を取り囲む物が在ります。すべての関係における機微は、どれも一定ではなく、刻々と変化しながら、変化することで常にバランスを危うくしながら、なおかつ生は持続していきます。
     そのようにして現れ出る一度きりの危うい生の形は、どれも厳粛なものであり、だからこそ、尊く、有り難い。そのようにかけがえのない気持ちに支えられてこそ、世界は、愛おしく、美しくなっていくのでしょう。

     

    雑誌『風の旅人』編集長 佐伯 剛

     

     

 


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