ヘッダー写真/山下大明 屋久島の夜の森(風の旅人 復刊第3号より)

復刊第3号(第47号) テーマ:妣の国へ    *完売


表紙写真/中村征夫
表紙写真/中村征夫

古事記のなかで、スサノオが泣き騒いで行きたがった妣の国、根の国。そこは、豊穣や生命の源、生者の魂がやってきて帰っていくところ。本来は、身近に感じていたものなのに、いつしか見失われたところ。いにしえの日本の死生観は緩やかで、魂は一定の場所に固定することなく、死と再生を繰り返しながら此岸と彼岸を行き来すると考えられた。一神教を生んだ砂漠と異なり、日本人の死生観を育んだ母なる森や海や大地は、それだけの包容力と柔軟性がある。おしなべて、一つの死が次の生を整えて次々と循環していく。子を産み育て、死んでいった母の母を無限に遡っていくことで、全ての生命にとっての妣(なきはは)のもとへ至ることができる。 

 


ロングインタビュー (8ページ)

自然の復活、世界の復活〜

染織家 志村ふくみさんへのインタビュー。志村さんは、89歳の高齢をまったく感じさせない精力的な活動を今も続けています。長年、自然と深く向き合い、染織りの仕事を通じて思考を深めてきた志村さんに、「自然の人間のあいだ」、「日本と西洋のあいだ」、そして「自己と自己を超えるもののあいだ」というテーマで、お話を伺いました。色の個性を殺さないように、決して混ぜ合わさず、織色という第三の色で表現していく。その考えは、現代社会の様々な問題にも通じるところがあります。


聞き手/佐伯剛(風の旅人 編集長) 撮影/荻野NAO之


☆根の国 屋久島(22ページ)

屋久島の照葉樹林の夜の森。闇の中、光キノコが瞬く。自らの存在を示し、食べられることで菌糸を遠くまで運ぶ。現在、日本列島は戦後に植樹された杉や檜の針葉樹林に覆われているが、かつては照葉樹林が広がり多彩な生物達が共存していた。屋久島の夜の森に潜り、いにしえの日本の闇の世界に潜んでいた生命の息吹を感じる。



☆永遠の光 20ページ

聖地ベナレスは、ヒンドゥ教徒が現在の生から旅立ち、火葬の灰をガンジス河に流されることを切望して、年老いた人、末期病の人々が訪れその時が来るのを待つ地である。この地で旅立つ人々と家族に無料で部屋を提供する『解脱の家』は、ベナレスで家族が旅立つ人と最後の数日を共有する家である。此岸の際としてのガンジスの岸は、彼岸世界へと旅立っていく人間の為の、揺りかごのような安らかさに満ちた世界でもある。


撮影/井津建郎 http://www.kenroizu.com/


☆ひさかた 20ページ

生命誕生の海。にもかかわらず、人間は海の中のことをほとんどわかっていない。25万種を超える生物が生息し、その種は100万種にも及ぶだろうと言われている。そして、普段馴染みのない数ミリから数センチの小さな生物たちも、超マクロレンズで迫ってみると、その華麗なる生命の姿形に圧倒される。


撮影/中村征夫 http://www.squall.co.jp/


 

☆彼女の肖像~杏子痕 

 16ページ

心に深い傷を持つ二人の女性の出会い。写真家と、PTSDにより死への衝動を抱えながら五年後の生存率が5%の難病・サルコイドーシスにも冒されている女性。写真家は、彼女の姿を,春、夏、秋、冬と追い続けた。生とは何か、死とは何か、存在とは何かと問い続けながら。


撮影/にのみやさをり http://www.ne.jp/asahi/mirror/0605/


☆マタギの里 20ページ

新潟県と山形県の境では、今もマタギの営みが続けられている。熊を狩り、焼き畑農業を行なう昔ながらの生活。生きることの根元に向き合わざるを得ない生活。今の日本のように機械化された世界に歯車として組み込まれたしまった人間が忘れてしまった,人間と自然とのつながり、敬意と畏怖が、暮らしの中に織り込まれている。


撮影/木村肇 http://hajimekimura.net/


文章

オール・アバウト・マイ・マザー・・・・・

とこしえの波・・・・・・・・・・・・・・

初源への旅・・・・・・・・・・・・・・・

ここが特別な場所ではなかったとしても・・

母を想えば・・・・・・・・・・・・・・・

妣なる星の物語・・・・・・・・・・・・・

樹木の妣、妣の土地・・・・・・・・・・・

逝ける妣たちの創世記・・・・・・・・・・

マチゲンガの暮らし・・・・・・・・・・・

 

茂木健一郎  

望月通陽   

小池博史    

蛭川立    

姜信子    

田口ランディ  

管啓次郎   

今福龍太

関野吉晴



風の旅人の販売について。 (一般書店では販売しません)

 風の旅人は、創刊から第44号まで、書籍流通を通して、全国の書店で販売してきました。しかし、現在の書籍流通は、一日あたりの新刊本の発行点数が異常に多いため(200〜300)、書店で対応できず、書店に届いても段ボールが開封されずに戻されることが多くなっています。単行本書籍の場合は、何度も書籍流通に入れ直すということができますが、風の旅人のような定期刊行物は、一度戻ってきたら終わりです。そのように返本されるものも含めて印刷しなければならないというのは非常に不合理です。広告収入に頼った雑誌の運営の場合は、それでも構いませんが、そうでない場合は、運営にも深刻な影響を与えます。その為、今後は、書籍流通を通さず、直接販売を行いながら、新たな流通の仕組みを考えていきたいと思います。

 *取り次ぎを通した書店での委託販売は行いません。買い取りの書店様は、このホームページのcontactを通じて御連絡頂ければ幸いです。